≪悪代官レビュー≫

 

 ・ 「究極クラスのバカゲー 悪代官2 とは?」

 さて、ここで紹介するのはPlaystation2 専用ソフト 「悪代官2」 である。

 そもそも、悪代官といえば、時代劇で悪の極みを尽くし、やがて正義の味方に斬られる
 という存在だが、なんと、このゲームにおいては、彼が主人公なのである!!

 つまり、このゲーム目的は悪を倒すのではなく、全くその逆である、正義を倒すこととなる。
 商人から黄金色の賄賂を受け取り、その資金力にモノをいわせる事で、
 時代劇の中でのウップンを晴らすかの如く、正義の味方をボロボロにして打ち倒す。
 ……というなんとも変わったゲームなのだ。

 しかし、一対一の斬り合いでは、悪代官風情で正義の味方に勝つ事は適わない。
 もちろん、これはこのゲームの中でも全く同じ。
 一人で攻め込んできた敵を用心棒とともに取り囲んだ所で、
 彼ら正義の味方の強大な力の前では、悪代官や用心棒などは所詮塵に等しい存在。
 用心棒が一人〜二人ずつ斬られた後で、悪代官も斬られて「めでたし」となってしまう。

 普通の時代劇ではこれで終幕となってしまうところだろう。
 が!! このゲームにおいては、この先が違う。

 「悪代官」は罠を張り巡らせる事が可能なので、
 用心棒を斬る事で精神的に疲れた正義の味方を、無数に張った罠の地獄に陥れる事ができるのだ。

 多対一である事を売りに、自分以外の人間は「捨石」にする。
 用心棒がいくら死のうがお構いなし。
 疲れた相手を集中砲火、とにかく罠の集中砲火で打ちのめす。
 「質より量」で敵を倒す爽快ゲーム。
 それこそが、この 「悪代官2」 なのである。

 

 ・ 「あまりにもこだわった設定」

 非常に破天荒な内容の「悪代官」ではあるが、最大のウリは一貫したおバカ性だろう。

 コンセプトとして中心に存在する「悪行三昧」をベースにしたストーリー展開を行いながらも、
 気がつくと脇道に逸れているのがこのゲームのシナリオ。

 前作「悪代官」をやっている方にはすぐにノリが想像できるだろう。
 前作では「柳生十兵衛」や「大岡越前」などを相手に最初は「時代劇」のリベンジを
 果たしていた悪代官だが、やがて……飛空挺「白基地丸」に乗って、エジプトのピラミッドに到達。
 ツタン仮面と戦う、というとんでもないストーリー展開を見せていた。

 もちろん、今回もそのノリは変わらない。
 むしろ、前作よりもより一層、脇道に逸れてしまっている。

 旗本退屈男や、西郷隆盛、ペリーなど……時代考証を完全に無視した敵の数々。
 ムービーでは、江戸時代に存在するハズもない重火器が乱れ飛び、
 「ありえねぇー」と叫びたくなるほど、プレイヤーの脳髄を刺激してくれる。

 そう! つまり、このゲームは「歴史・時代劇を扱ったゲーム」ではなく、
 「歴史・時代劇をパロディとして扱ったゲーム」なのである。

 時代劇だけではない。
 現代社会の雑学をあらゆる部分でパロディしているため、
 「判る人にはくすりと笑える」、そんな小ネタを満載したゲームになっているとも言えよう。
 (特に機動戦士ガンダム系のネタはゲームの中心となるくらいふんだんに盛り込まれている 笑)

 何も考えずにゲーム展開やムービーを楽しむのではなく、
 「ああ、なるほど」と頭を使いながら展開を楽しめる大人のパロディゲーム、
 それこそが「悪代官」なのではないか、と筆者は考える。

 

 ・ 「意外と王道なアクション部分」

 さて、こちらの知識のツボをつくようなストーリー部分とは逆に、
 実際のゲーム内容となるアクション部分を見てみる。

 このゲームにおいて、アクション部分は準備編+返り討ち編の二つに分かれる。
 準備編では制限時間内に決められた予算の範囲内で「罠」+「用心棒」をMAPに配置。
 返り討ち編で初めて登場する「正義の味方」をそれらの布石を使って打ち倒す事になる。
 「刻命館」や「影牢」という罠を張って敵をそこにおびき寄せるタイプのトラップシミュレーションゲーム。
 こういったシステムを知っている人にとっては標準的なシステムだといえる。
 そういった中でも、特にこのゲームは、「多対一」に特化したゲームであり、
 準備編ではいかに総力を結集して、敵をぶちのめすか、を単純に考えられる。

 相手の動きを制限しつつ、竹槍や矢で攻撃するような罠の連鎖を組むも良し。
 MAP全てを炎の海に沈めるような豪快な連鎖を組むも良し。

 前半の面においては、とにかく派手な罠をちりばめるだけで相手を倒す事ができる。
 しかし、後半は……となると、そうは行かない。
 正義の味方の動きを緻密に計算し、「相手がどのルートを通るから……」と、
 罠の組み合わせを考えながら使っていかなければならない。
 罠は色々な種類を組み合わせた方が連鎖が増え、威力も倍増。
 悪代官が攻撃を混ぜるとボーナスが追加……などなど、プラスアルファ的な要素も駆使する事になる。

 どちらかといえば、アクションゲームというよりは、
 パズルゲーム、シミュレーションゲームとしての要素の方が強いかもしれない。

 ……そう考えるとこのゲームのプレイ自体の敷居は少し高いと言えそうだ。

 ある程度、ゲームの内容を理解し、効果的な罠の使い方を学習できないと面白みには辿り着けない。
 また、悪代官本体ではなく、罠による攻撃がメインになる……というのも取っ付き辛くはある。
 一般的なアクションゲームに慣れきった人間にとっては、
 主人公が「敵を誘導する事に徹するゲーム」というのは違和感を覚えてしまう事だろう。

 とはいえ、そういった敷居を越えるのはそう難しい事ではない。
 悪代官本人を動かすテクニックもそこそこは要求されるが、
 基本的に経験と知識さえあれば、ゲームが苦手な人間でも楽しめる作りだと言えよう。
 ある程度まで慣れてくると、敵を罠にかける事が快感にまで達するハズだ。
 経験と知識が手に入るのには大体1〜2時間。
 これを耐えられれば、このゲームを楽しむ下地はできてくる。
 そこまででこのゲームを「遊べる」かどうかのセンスが問われてしまうかもしれない。

 先ほどのストーリー展開を含めて、
 総じて「大人のためのゲーム」という評は間違っていないだろう。
 万人受けはしないだろうが、ツボにはまった人にとっては、最高級のゲームとも成り得る。

 

 ・ 「総評」

 今までの文章でも語ってきたことではあるが、このゲームは「少し考えさせられる」ゲームである。
 ゲームの独特のノリやパロディを理解する事で初めて楽しむ事ができる。
 ツボに入らない人には何一つ楽しみがわからないかもしれない。

 こう聞くと、多少堅苦しいイメージがあるかもしれないが、
 ぶっちゃけ、オタクな人間なら買って楽しめる可能性は高いと言えそうだ(笑)
 全編通じて登場する「機動戦士ガンダム」ネタや、ルパン、スターウォーズなどのネタは必見!!

 ただ、単純な爽快感だけを求めるのならば、別のアクションゲームを買った方がいい。
 ゲーム本編だけでなく、時代劇とネタの織り交ざった独特の雰囲気を楽しむ事。
 それこそが、このゲームの最大の醍醐味なのである。
 それを理解できる人ならば、「買う価値はある」、そう言いきっても過言ではないだろう。

 現在、「THE BEST」にて廉価で「悪代官1」が発売されている。
 完全な続編モノだけに、まずは、こちらで笑いのツボを試してみるのも悪く無いか。

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 ・ 「苦言?」

 さて、ここまで評価してきた「悪代官2」だが、不満な部分が無いわけではない。
 もともと万人受けする内容ではないという事を前提においても、
 それでも「ここだけは考えて欲しい……」という部分があるのである。

 1) 「ミニゲームの充実度」

→ 確かに一発ネタとしては面白いのだが、濃い部分での押しが弱い。
  どれも面白い要素はあるのだが、イマイチな練りこみが足りない気はする。
  例えば、「帯回し!2」は単純なタイミングを合わせたシューティングゲームになりがち。
  レバーの回転速度だけで決まってしまうのが残念である。
  どの娘に当たったかが重要になるような+αが欲しかった。

  「クイズ百万石」は非常に面白いネタではあった。
  が、救済措置3つがどれもリスクが高く、最終的に単純なクイズゲームになりがちなのが残念。
  ムービーのスキップができず、テンポが悪いのも大きなマイナスである。

  「くノ一取調べ」はトランプ的な要素があるため、かなり凝ってはいた。
  凝ってはいたが、「難しい」などでは総枚数が増えるなど極端な難易度の上昇が好ましかった。
  (ライフを減らす、というの−要素ではなく、なんらかのお邪魔要素が増えて欲しかった)
  最終的にコツさえ覚えてしまえば、クリアが確定してしまうのは底が浅い。

  「木動仏像伝 願仏」はもともとのガンダムの印象があるため、少し拙く感じてしまう。
  敢えてレトロな感覚として作っているのかもしれないので、それはそれで良いのだが……。
  もっとも、キッチリ作りこみすぎて、超兄貴のインパクトが薄れては形無しだからこれでいいのかも。
  ただ、中ボスと大ボスの攻撃パターンの差分はキッチリ作って欲しかった、というのが本音である。
  中ボス、大ボスのキャラが薄すぎるのも個人的にはマイナス。(あれがボス? という感じで)

 2) 「単純作業化の危険性」

→ 前作に比べて、MAPクリア毎に確実に資金提供を受けられるので、難易度は減った。
  これ自体は良いのだが、最終的な単純作業化には繋がっていないだろうか?

  「えころじかる」というアイテムは便利には便利なのだが、
  MAPをパターン化する事が可能 = RPG的な資金稼ぎが可能という事にも繋がる。
  これでは資金の概念がかなり軽くなってしまっているような気がする。
  敵の出てくる位置が変わってもパターン化は可能なので、やはり味が薄く思えてしまう。

  罠はともかく、+α色の強い、装備品はもっと高価な金額で売られても良かったのではないか。
  お金の使い道が「ネジ」&「軍配」に集約されるのはあまり面白くない事だと思う。

  これは「格付」においても同じである。
  ★5つの天下人が他の「格付」の代用となるのは、救済措置としては良いのだが、
  慣れてきた人間にとっては物足りない事である。
  ★5つが取り易すぎる現状においては、「格付」の意味を損なうシステムだったのではないだろうか。
  条件を満たさなければ絶対に取れない格付などがやはり欲しかった所だ。
  「格付」は+α的な要素なので、こういった所だけは難易度を高めておいてくれれば嬉しかった。

 3) 「やりこみ要素の欠乏」

→ パターンが決まってくると、罠の組み合わせが固定化されてしまう。
  扱いづらい「落とし穴」や「油壷」などは最終的にはほとんど使われなくなってしまう。
  逆に「回転床」や「童子タイプ」の罠などは最後まで組み合わせに残ってくる。
  これでは、敵やMAPの地形が変わった所で、メリハリを求める事が難しいだろう。

  一部の罠を使うとペナルティを受けるMAPや、
  一部の罠を無効化する敵などがあってもよかった気はする。(将軍以外でも炎属性無効など)
  もっと使われない罠に使い道を見出す事ができるような作りを期待したかった。

  どうせならば、罠を16個選別するのではなく、全ての罠を使えるようになってもいいとは思える。
  (画面処理的に難しいのかもしれないが……)

  同様に、最終的には悪代官が強くなりすぎるのも気になった。
  最終的にはマグナム一発でクリアできるMAPなどが出てきてしまうのは仕方ないが、
  隠しMAPである刑場や最終話が最高難易度、というのでは簡単すぎて満足行かない所である。
  装備品によって悪代官が強化されるのはいいのだが、それに見合った究極難易度MAPも欲しい。

  条件によって出現する「隠しアイテム」といういいアイディアがあったので、
  もし、次回作があるならば、
  悪代官が何らかのペナルティを背負う「ハンディ戦」や、ムダに強力な「正義の味方」など、
  上級者向けのモード(ミッションモード的な……)があってもよいのではないだろうか?

  現時点では敢えて「虎徹」装備でクリア、
  用心棒だけで罠を使わずにクリア、
  ……などなど、自分達で制限をつけてプレイする自己満足プレイをするしかないのが残念である。
  実際にゲームにクリアご褒美付きで、実装してくれればこれほどやりがいのある事は無いだろう。
  (それこそ、格付のやりこみ要素が薄かったのが悔やまれる)

 ……声を大にして言いたいのはこの3点である。
 ネタに関しては賛否両論あるかもしれないが、もともと万人受けを期待できる内容ではないので、
 「悪代官」というゲームに関してはスタッフの感性で突き進んで欲しいと思った。

 とはいえ、「悪代官1」→「悪代官2」へ、
 ユーザーの求める事を的確に捉えてパワーアップを行ったスタッフには
 敬意を払わざるにはいられない。
 ユーザーが何を求めているかを捉えて、正統進化ともいえるバージョンアップ。
 それを踏まえての次回作を出した精神はゲームメーカーとしての理想図でもある。

 是非、「悪代官3」も期待したいところである。
 正義の味方を1で使いすぎたのが気になるところではあるが……(笑)

 「悪代官、ニューヨークへ行く」など海外版を作ったり、
 既登場、未登場にこだわらず、「悪代官1のキャラクターのリメイク」を行ってもいいのではないだろうか。

 

 

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